実はとっても身近な存在!ロボットってどんなもの?

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そのお弁当もロボットが作っている!?

「ロボット」と聞いて、みなさんはどんなものを思い浮かべますか? ソフトバンクの人型ロボット「Pepper(ペッパー)」や、ソニーが開発したペットロボット「AIBO(アイボ)」でしょうか。あるいはiRobotの「ルンバ」に代表されるロボット掃除機かもしれません。

このように、近年日常生活の中でロボットを目にする機会は増えてきましたが、実は産業の世界においては、様々な製品のものづくり現場を支える、産業用に分類されるロボットはずっと前から必要不可欠な存在なのです。

高度経済成長期に深刻だった労働力不足への対策として産業用ロボットの導入が進んで以来、日本はロボットの稼働台数が世界第一位のロボット大国。2015年末時点、日本国内では286,554台の産業用ロボットが稼働(※1)しています。産業用ロボットは主に製造業を中心に活躍しており、自動車の車体を溶接したり、ムラなく塗り上げたりする作業を担ったり、白物家電の組み立て、スマートフォンやパソコンなどの精密部品の搬送作業を行ったり、ものづくりの現場で奮闘しています。現在は、三品産業(食品・化粧品・医薬品産業)でも人手不足を解消するためにロボットの導入が進んでいます。例えば、これまでロボットによる作業が難しかった弁当の盛り付け工程を担うロボットの開発も進んでいます。

このように、実はロボットがものづくりを支えている製品は身近に存在しており、ロボットは私達の生活に密着しているのです。

※1)日本ロボット工業会:世界の産業用ロボット稼動台数

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ますます増えるロボットの役割

近年日本では、長時間労働や人口減少による労働力不足といった社会課題への対策として、政府や民間企業が「働き方改革」を推進しています。健康維持や仕事と私生活の両立を考えると、私たち人間はバランスの取れた労働時間で働くことが理想だといえます。その点でロボットは疲れ知らずのため、退屈で単調な作業や正確性・スピードが要求される作業を、休みなく長時間行うことができます。
日本経済新聞と英フィナンシャル・タイムズ(FT)の共同調査によると、人間が行っている約2,000種類の仕事のうち、3割はロボットによる置き換えが可能であるといわれています。日本だけを見ると、主要国で最大となる5割強の業務を自動化できるそうです。労働人口不足が深刻になる中、このように自動化可能となる分野では、ロボットの手を借りることで働き手の確保につながるといえます。

このように、ロボットは今後ますます活躍の場を広げることが期待されています。ロボットが「働き方改革」の担い手になる日もそう遠くないかも知れません。

ロボットにはどんなものがある?

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一口にロボットといっても、様々な形態があります。人型のものはヒューマノイドと呼ばれ、会話をしたり感情を読み取ったりするものもあります。先にご紹介した産業用ロボットは、溶接用や塗装用、搬送用など、用途によって大きさも形も様々です。例えば自動車のドアのような重量部品から、ねじのような小さなものまで扱える、幅広い形態のロボットが存在しています。医療の世界では、内視鏡手術など活躍の場を広げている手術支援ロボットや、歩行困難者を支援する装着型ロボットもあります。また、人間にとって過酷な環境である宇宙では、クレーンタイプの軌道上ロボットや月探査ロボットなどが活躍しています。

「ロボット」は大きく2タイプ

ロボットは大きくわけてみると、主にものづくりの現場で活躍する「産業用ロボット」と、私たちの生活に近い分野で活躍する「非産業用ロボット」の2つに分類されます。

産業用ロボット

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その名の通り、産業用ロボットは製造現場で活躍するロボットです。工場などで輸送機器や電子機器の組み立て、大小さまざまな部品の搬送などを担い、ものづくりに欠かせない存在となっています。代表的なものには、溶接ロボット、塗装ロボット、搬送ロボットがあります。

産業用ロボットは、人の腕や手の動きを再現するマニピュレーション機能を備え、細かな作業を繰り返し行うことが得意です。従来は“きつい・汚い・危険”といわれる3K労働を人間の代わりに担ってきましたが、現在ではその活躍の場をさらに広げています。たとえば、半導体などの精密機器産業や医療産業では、汚れやホコリが許されないクリーンルームと呼ばれる環境で、高度な作業を行うロボットとしても活用されています。

非産業用ロボット

産業用ロボットは「ものを作り出すこと」を得意としますが、非産業用ロボットは製造を目的としません。例えば、手術を支援する医療用ロボットや、歩行をサポートするロボットがこれに該当します。

非産業用ロボットは、私たちにとってより身近な存在です。施設で案内をしてくれるサービスロボット、娯楽用のペット型ロボット、対話ができるコミュニケーションロボットなど、技術の進化とともに多様なロボットが登場しています。

ロボットと人間の違い

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ロボットと人間の比較図

上の図にあるように、ロボットは人間と似た機能を備えています。それでは、人間との違いはどこにあるのでしょうか。

ロボットは、情報処理を担うコントローラ(脳に相当)、運動機能を司るアームやハンドエフェクタ、移動機構、アクチュエータ、そして人間の目や触覚にあたるセンサで構成されています。こうした構造は人間の体に似ていますが、決定的な違いは意志を持たないことです。人間は自ら考え、意志を持って行動しますが、ロボットは与えられたプログラム(命令)に従って動作します。コントローラに書き込まれたプログラムがアームなどに伝達されて、初めて動作が可能になります。

では、具体的な作業場面での違いを見てみましょう。
例えば、ベルトコンベア上の荷物を別のコンベアに移す単純なピッキング作業の場合、人間は目で荷物の有無や位置を確認し、臨機応変に対応できます。一方、ロボットは視覚センサで荷物を認識し、コントローラからの指令でアームを動かします。しかし、荷物がコンベアから落ちた場合、人間なら拾って対応できますが、ロボットはプログラム外の動作はできません。

ただし、ロボットは繰り返し作業を得意とし、スピードと精度で人間を上回ります。さらに、疲労や感情に左右されず、常に均一な品質で作業を続けられる点も大きな強みです。人間が体調や環境によってミスをする可能性がある作業でも、ロボットは安定したパフォーマンスを発揮します。

ロボットと手を取り合う

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ロボットはその誕生から時代とともに技術的に大きな進展を遂げてきました。また近年開発が著しいAI(人工知能)との融合により、ロボットはより効率的に、より早いスピードで進化を続けていくようになります。これまで産業の発展を陰ながら支えてきたのはロボットであり、これからも様々な産業分野や私たちの日常生活において人間を支える存在として活躍の場を広げていきます。私たちの未来はロボットを抜きにして想像することはできません。これから先、私たちはより近い距離でロボットと共生していく時代に突入します。