生産ライン自動化のメリット03

ロボット導入プロセスのキーポイント

「どの作業をロボットに任せられるのか」「どういう段取りが必要か」「誰に相談すればいいのか」ーーいざロボットの導入に踏み切ろうとしても、最初の一歩でつまづいてしまう企業も少なくありません。ロボットを無事に迎え入れ、かつその能力を最大限活用して確かな効果を上げるために、踏まえておくべき必要な基本的プロセスをご紹介します。

Step 1. まずはロボットで解決したい課題を考える

自動化にあたっては、まずどのような課題を解決したいのかをクリアにしておくことが肝要です。また、人/ロボット/専用機のそれぞれを、特性に見合った作業へ適材適所に配備してこそ、その効果を最大限に引き出すことが可能になります。ロボットは本当に必要なのかーーまずはそこから考えるのがロボット導入の出発点といえるでしょう。

人/ロボット/専用機にはそれぞれに得手・不得手がある。ロボットの能力を最大限に活用するには、どんな作業を任せるのが有効なのかを正確に見極めることが重要となる。

『中小製造業のためのロボット導入促進ガイドブック』近畿経済産業局より引用

Step 2. 事前の情報収集をする

産業用ロボットの種類は多岐にわたる上、日々進化し続けています。その最新情報をキャッチアップし、業界の導入事例を参考にしながら導入のイメージを掴むには、国際ロボット展など多くのロボットメーカーやSIerが一堂に会する展示会をチェックするのが最適です。近年はオンライン開催する展示会も増えているので、世界中の情報にアクセスしやすくなっています。各ロボットメーカーや一般社団法人 ロボット工業会の公式サイトでも、充実した技術情報・活用事例を発信しています。

2022国際ロボット展

産業用ロボットの最新事情や他企業の適用事例などを知るには、ロボット展示会で情報収集するのが効率的だ。2022年3月9日〜12日に東京ビッグサイトで行われる「2022国際ロボット展」では、オンライン会場もオープンする(オンライン会場の公開は3月1日〜18日)。

Step 3. SIerに相談する

ロボット導入プロセスのキーポイント01

それぞれの製造現場には長年培ってきた独自のノウハウやスタイル、生産技術、メソッドがあり、自動化にあたっては、その現場に合わせた“一品一様”のロボットシステムを導入することが望まれます。そこで頼りになるのが、ロボットシステムの構想から設計、構築までを幅広く担う専門のエンジニアリング企業がロボットシステムインテグレータ(SIer=エスアイアー)。ロボットと周辺装置、あるいは専用機などを組み合わせ、現場に最適な自動化システムを作り上げていくプロフェッショナルです。自社に最適な自動化システムを構築するには、ロボットを“作る”ロボットメーカー、ロボットを“使いこなす”SIer、ロボットを“運用する”ユーザーの3者が密接に連携することが重要となります。

ユーザーとロボットメーカーの間にSIerが介在して、彼らが接続役となってシステム導入までの道のりを導いていくのが一般的。川崎重工は、自社でこのロボットシステムインテグレータの役割まで担うことの出来る貴重なロボットメーカーである。

Step 4. SIerと共に進める導入ステップ

ロボット導入から自動化完了までの基本的なフローの一例を紹介します。

まずはロボットシステムの構想を練るSIerが「現場」と「ユーザーのニーズ」を的確に把握することが必須となります。事前のヒアリングと現場の実見・調査は時間と労を惜しまず徹底的に実施することが重要です。ヒアリングでは、予算やスケジュール、品種、スペース、タクトタイムといった基本的な条件はもとより、取るに足らないと思われるような細かな情報も共有しておくと良いでしょう。続いて行われるのが、自動化できる作業工程の選出。効率や生産性、費用対効果、前後工程との繋がりなど、あらゆる観点からロボット化に相応しい作業工程を見定めます。対象となる工程を絞り込んだ後は、作業要素を分解していきます。人間にとっては“一連の作業の流れ”であっても、ロボットには手順を細分化し、ひとつひとつの動作としてプログラミングする必要があるのです。それと並行して、ワークの供給・排出フローや作業スペース、ユーティリティなど、ロボットシステム周辺の環境整備も行います。ロボットシステム全体の設計図が固まったら、運用と能力の妥当性を検証するとともに、リスクアセスメントを実施。その後、完成したシステムの製造とプログラミングが完了次第、出荷前テスト→実環境へ据え付け→テスト期間という流れを経て本稼働に至ります。

ロボット導入プロセスのキーポイント01

ロボットシステム提案にあたっては、はユーザーのニーズと現場の状況を正確に把握することが大前提となる。システムが完成しても、実環境への据え付け前には、単動テストやユニットとしての連携動作確認など、出荷前に綿密な検証が繰り返される。

Step5.導入後のフォロー体制も重要

ロボットシステム導入後も、ロボットメーカー/SIer/ユーザーの連携体制は続きます。定期的な保守点検、不具合への対処、障害発生時の復旧支援、更新、仕様変更への対応など、ロボットにはきめ細やかなアフターサービスが必要不可欠です。川崎重工では、アフターサービス専門の部隊であるカワサキロボットサービス株式会社を1986年に発足。導入後のユーザー向けに専用のコールセンターや24時間対応のヘルプデスクも用意し、万一の際のフォロー体制を整えています。

TREND Manager
傾向管理定量点検
K-CONNECT

システムアップ完了後も、定期的な保守・点検、不具合対応など、ユーザーに寄り添うアフターフォローが重要となる。川崎重工では、ロボット設備の状態を遠隔監視する「TREND Manager」をはじめ、万全のサポート体制を整えている。

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