2025年12月17日から19日の3日間、東京ビッグサイトで開催されたSEMICON Japan 2025に出展しました。今年で49回目を迎えたSEMICON Japan 2025は、日本最大の半導体産業展示会として知られており、今年も大盛況で、3日間で過去最高の12万人を超える来場者が会場に訪れました。

2025年度の出展内容
川崎重工は、今年度のSEMICON Japanではウェハ搬送ロボットと協働ロボット(重可搬モデル)を展示しました。川崎重工のウェハ搬送ロボットは世界トップシェアを誇り、独自の駆動機構により高精度・高剛性な動作を実現し、半導体ウェハの正確な位置決めと安定した搬送が可能です。
また、SEMI-F47規格(半導体装置の電圧降下規格)とSEMI-S2規格(半導体製造装置の安全ガイドライン)に準拠しており、電圧降下に対する耐性や安全性が確保されています。さらに、リングフレームや基板搬送にも対応可能で、さまざまな製造環境に適応できるため、川崎重工のウェハ搬送ロボットは、半導体製造の効率化と品質向上に大きく貢献しています。

新製品の展示
今回の展示会では、新製品のウェハ搬送ロボットNV121と昨年新製品として出展したNTJ11にベルヌーイ方式のハンドを組み合わせた以下の2機種を紹介しました。
NV121(実機展示)
今回実機展示した新製品NV121は広い可動域を備えた高真空対応ウェハ搬送ロボットで、半導体製造プロセスにおける高精度な搬送を実現します。4軸円筒座標構造により、柔軟な動作と安定した位置決めが可能です。最大リーチは1,050mmと広く、最小回転半径はR352mm(ハンドなし)で、省スペース設置にも対応します。
動作範囲はT軸±360°、Z軸50mm、R1軸およびR2軸はそれぞれ830mmと広範囲で、さまざまな装置レイアウトに適応できます。位置繰り返し精度はΦ0.1mmと高精度で、ウェハ搬送の信頼性を確保します。 把持タイプはパッシブ方式で、対応ウェハサイズは8インチおよび12インチ。さらに、真空度は1.0×10⁻⁵~1.1×10⁵Paに対応し、クリーンな環境での使用が可能です。AWCセンサにも対応しており、プロセスの自動化を強力にサポートします。

NTJ11+ベルヌーイハンド(実機展示)

また、今回川崎重工のウェハ搬送ロボットNTJ11とハンドは株式会社ハーモテック様の「KUMADE」をお借りし、NTJ11+ベルヌーイ方式ハンドを出展致しました。
この出展物の特長は高精度反動 × 低ストレス保持 × 反転 × トラックレスを、ベルヌーイ方式ハンドとの組み合わせで実現します。従来の空気で浮かせる非接触搬送では、薄化や成膜で反りが大きくなったウェハの安全保持が困難でしたが、ベルヌーイ方式ハンドはウェハ表面に触れず、外周を低ストレスで安定保持することでキズやパーティクルを最小化します。
さらに、フリップ軸によって単体でウェハの表裏切替(反転)を実現し、専用反転機を不要にすることで省スペース化、工期短縮、汚染リスク低減を可能にします。NTJ11+ベルヌーイ方式ハンドの組み合わせは、半導体製造で求められる4つの条件――精度(位置決め)、柔軟性(工程対応)、清浄(低パーティクル)、タクト(高速)――を同時に達成します。
CL130N(参考出展)

また注目を集めたのが、6軸垂直多関節型の協働ロボット「CL130N」です。今回の出展は参考出展という位置づけですが、そのスペックとコンセプトは、製造現場に新しい選択肢を提示しています。
CL130Nの最大の特徴は、最大可搬質量30kgという重可搬性能。これまで協働ロボットといえば軽量物のハンドリングが中心でしたが、CL130Nはその常識を覆します。さらに、最大リーチ1,300mmを誇り、広い作業範囲をカバー。床置きはもちろん、棚置きや壁掛けにも対応できる柔軟な設置性も魅力です。
「協働ロボットで重量物を扱えるようになれば、現場の自動化はもっと進む」――そんな期待を込めて、今回の参考出展は大きな意味を持っています。今後の進化に注目したいモデルです。
*仕様は予告なく変更される可能性があります
SEMICON STADIUM 2025:川崎重工はヒューマノイドロボットも出展
同時開催されたSEMICON STADIUM 2025では、「AI × Humanoids & Allies」をテーマに、半導体技術とAIが支える次世代ロボティクスを体感できる特別エリアが登場しました。

今回が初開催となるこのイベントは、ヒューマノイドロボットの最新デモやAIとの連携による高度な動作を間近で見られる貴重な機会として、多くの来場者で賑わいました。 川崎重工はここで、ヒューマノイドロボット「RHP Kaleido 9」を出展。強靭さと堅牢性を兼ね備えたKaleido 9は、災害現場など過酷な環境での活動を目指して開発されており、AIとの連携による高度な動作を披露しました。

さらに、Kaleido 9は司会者の方とコミュニケーションを取りながら、身振り手振りを交えて川崎重工が描くヒューマノイドロボットのロードマップや、将来の活用シナリオについて来場者にわかりやすく説明。
「半導体技術がロボティクスの進化をどう支えているのか」「人とロボットが共生する未来はどのように実現されるのか」――その答えを、来場者の方へ体感いただきました。
川崎重工は、これからも最先端の技術とソリューションを提供し、半導体業界の発展に貢献していきます。

