【近未来モビリティ】

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「近未来モビリティ」では、川崎重工が手掛ける幅広い技術の中から、ロボティクス・モビリティ・航空技術を組み合わせ、新規に開発を進めているVTOL無人機や配送ロボットを活用した未来の輸送システムの可能性をご紹介いたします。

物流業界における人手不足

少子高齢化の進む日本では、労働人口不足が深刻な社会課題になりつつあります。ある推計では、2030年に7,073万人の労働需要に対し6,429万人の労働供給と予測されており、「644万人」の人手不足が起こるともされています(出所:パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」)。

物流の領域においても運送業の高齢化は年々進み、近年はネットショッピングの拡大により、宅配便取扱数も急増。将来的な人手不足が見込まれています。また、配送業者の長時間労働も問題視され、「人手は不足する一方で仕事量は増え、さらに労働環境が悪化していく」という悪循環は、これからますます深まっていくと懸念されています。

「近未来モビリティ」とは?

従来の「人の移動手段、乗り物、交通システム」などを意味するモビリティに「無人化」「高い走破性」「ロボットアーム」などの川崎重工の持つテクノロジーをかけ合わせ、新たな価値を創出する。それが川崎重工の考える「近未来モビリティ」です。これまで人手で行われていた物流の無人化のほか、将来的には川崎重工が得意とする航空技術なども採り入れることにより、距離、物量、時間といった物流効率化における生産性を高めていきたいと考えています。

無人VTOL機、配送ロボットが実現するラストワンマイル解決構想

川崎重工が近未来モビリティで実現しようとしている世界の1つが、無人VTOL機(Vertical Take-Off and Landing aircraft)と配送ロボットの“無人物資輸送”によるラストワンマイル*の自動化です。

*ラストワンマイル…配送元から配送先に商品が到達するまでの、最後の接点

無人VTOL機の概要

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無人VTOL機:K-RACER-X1
駆動方式:レシプロエンジン型(Ninja H2R向けスーパーチャージドエンジン)
飛行形態:垂直離着陸方式
制御方式:自動飛行
可搬質量:100 ㎏

もともと山岳地帯における輸送を想定し開発されたK-RACERは、川崎重工のヘリコプターの技術と、モーターサイクルで培った小型ハイパワーエンジンが組み合わされたソリューションです。すでに100kgの運搬能力を達成しており、今後は200kgを目標に開発が進められています。

K-RACERは、荷物の配送元から中継地を経由することなく、配送先の近くまで荷物を運びます。都市部や自然災害発生時の渋滞に影響されることなく、より時間通りで正確なデリバリーを実現します。都市部から地方への配送など、移動距離の長い広大な配達エリアでのデリバリーでもK-RACERは活躍します。

配送ロボットの概要
配送ロボットの特長
  1. 無人自律走行 周辺の環境を認識し、最適なルートで無人で走行可能
  2. 高い搬送能力 高い搬送能力により、効率的コストで輸送実現
  3. 軽量設計 人の手で簡単に押すことができ、軽々と持ち上げることも可能
  4. 走破性 優れた走破性により、段差の多い公道や未舗装道路での走行も可能
  5. リモートコミュニケーション モニターやカメラを活用して遠隔によるコミュニケーションなどが可能

配送先のラストワンマイルで連携する「配送ロボット」は、川崎重工のロボティクス技術と四輪バギーが持つ走破性を組み合わせたロボットです。モーターサイクル開発で培ってきた小型軽量化技術と、走破性の高い足回り、さらにはロボットで培ったアーム制御と環境認識技術をかけ合わせ、配送のみならず荷物の受け渡し・軽作業も行えるよう開発を進めています。

無人物資輸送の実現に向けた取り組み

すでに川崎重工では、同取り組みの概念実証(PoC)に成功。「荷物を積載した配送ロボットが無人VTOL機に自動で乗り込み、配送ロボットを積載したまま自動飛行、着陸後に配送ロボットが自動で離脱し荷物を届ける」という一連のシーケンスを実施しています。

医療の現場でも活躍する「近未来モビリティ」

他にも、川崎重工の「近未来モビリティ」はさまざまなシーンに広がりはじめています。藤田医科大学病院(愛知県豊明市)におけるスマートホスピタル構想に向けた取り組みの1つとして、川崎重工の配送ロボットを院内のインフラ・ITシステムと連携させ、安全・安心を確保しながら検体・医薬品などの院内の物資搬送に活用することを目指した実証実験をスタートしています。

将来的には院内誘導や買い物代行など活用の幅を順次拡大予定で、2022年度に同病院内での実際の運用を視野に入れ、着々と実証実験を進めていきます。

製造業の枠を超えるロボット「Nyokkey」

これから人口減少時代に入る日本。これまで製造業など一部でしか利用されてこなかったロボットは、今後さまざまな業界で求められることが予想されます。その1つがサービス業界。慢性的な人手不足に加え、コロナ禍により企業の経営環境は厳しさを増しています。サービス業界にロボットを。そのために川崎重工ではサービスロボット、Nyokkey(ニョッキー)の開発を行っています。

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