彼、仕事がめちゃくちゃ的確で早いんですけど!
年度末といったら忙しさMAXなシーズン。新ガジェットの発表が増えるから記事ネタはたくさんありますし、事務処理の書類もどんどん積もっていきます。
疲れがたまってくると、みるみるうちに集中力ダウン。いらぬトラブルのタネとなりがち。ホラまた「ああああっ…」と悲しげな空気をまとったため息が。どうしたの吉岡くん。なにかあった?
「アプリがフリーズしちゃって…原稿の保存を忘れてました…」
ああ。わかる。その切なさ、わかる。みなさんにもありませんか。論文やレポートをまとめているときほど、PCに不具合がでちゃうってことが。
「ほんと忙しすぎるんですよ…。猫の手も借りたい。1日だけでもいいから、スタッフ雇ってくれませんか?」
んー、人間じゃなくてもいい? ロボットになら声かけられるんだよね。2本の腕があって、いろんな作業をお願いできる川崎重工の「duAro(デュアロ)」ってヤツがいるんだよ。僕たちの真横で雑務をやってもらっても、危険がなくて大丈夫。ほぼ人間サイズだから、編集部に来てもらえるんだよね。
「ロボットのアシスタント…かっこいい! ぜひお願いします!」
編集部にロボットアシスタントがやってきた
それから数日後の早朝。ギズモード編集部の入っているビルに、大きなトラックがやってきました。川崎重工のロボットビジネスセンターからduAroがやってきました。
自分では動けないので、人間の手を貸さないとダメ。ですが、このサイズ感って「立って半畳」ですよ。フットプリントはコピー機くらいじゃないですか。本当に、ひと1人ぶんの設置スペースで済むんだ、duAroって。
重さは成人男性3人ぶんくらい。だから普通のエレベーターでも運べちゃう。
ギズモード編集部にようこそduAro! さあ、今日は張り切って仕事してもらうからね!
duAro、「command」+「S」キーを押してセーブして
まずは何から頼もうか? そうですね、吉岡くんの悩みから解決してもらいましょうか。duAro、仕事をしている吉岡くんの前でスタンバッてて。
「ちょっとトイレにいってきます」
と席を離れた吉岡くん。きらーんとduAroの目が光った!(かのよう)
両手を駆使して、フェザーなタッチでキーボードの「command」+「S」キーをプッシュ! Let’s セーブ! これで万が一のトラブルがあっても、いままで書いてきた原稿がなくなることがなくなくなくなります。いい仕事っぷりだ!
機械の腕を活かしたパワフルタッチだけじゃなくて、ソフトにタッチできるduAro。繊細な動きもできるんだね。
そういえば、手先こそメカメカしいけど、腕は全体がウレタン樹脂でカバーされています。触るとちょっと柔らかみある。え? だれかにぶつかるとすぐ動きを止める衝突検知機能もあるから安全だって? duAro、とてもいい子じゃないですか。
とはいえ、だ。duAroをファイルのセーブ専用で働かせるのも、もったいない気はしますね。原稿執筆だったらオートセーブに対応しているアプリを使うか、1文字足し引きしただけでも保存するクラウドサービスを使えばいいという話もあるし。
OK。次は、もっとテクニカルな作業をまかせてみましょう。
duAro、3方向からガジェットの写真を撮って
ギズモード編集部の仕事のうち、意外とヘビーなのガジェットの撮影なんですよね。白バックを使ってホリゾント作って陰がないようにライティングして…とまではいかないまでも、いろんな方向から写真を撮るには時間がかかります。
決まった方向からの撮影であれば、duAroでもデキるかな? デキるでしょう。じゃあ撮ってみようか! と声をかけてみたら。
でーきたー! duAroってばすごくオールマイティ。 片手でGoProを持って、片手でリモコン代わりのスマートフォンをタップ。スムースだしブレないし、なんて素晴らしいアシスタントなんだ。
真横&斜め45度の角度からパシャリ。しっかりと、正確に、こちらの狙い通りの画角でシューティングしてくれてます。できる子だなあ。
duAro、DJプレイで盛り上げて
よく働いてくれるduAro。これは歓迎会をしないとなりませんね。え? DJプレイで歓迎会を盛り上げられるって? じゃあさっそく、ワザを見せてもらいましょう。
ドラムパッドでサウンドをゴージャスにして、プラッターをコスってきゅっきゅきゅー。上手いなー。
繊細なテクを見せつけてくれますよ。仕事もできるコだし、プライベートも充実している。なになに? 僕の手を直接動かして、覚えさせてくれればもっといろんなことができる、だって? しかも、一度覚えた動きは忘れないって?
duAro君って実はリア充なのか。モテそうでニクい!
僕らと一緒の空間で、一緒に働けるロボットはもういたんだ
duAroは産業用ロボットです。
今までの産業用ロボットは大きく、素早く、パワフルに作業をこなすことに重きが置かれています。特定のプロフェッショナルを突き詰めたからこそ、工場では特定の場所に固定され、安全確保のための柵で区切られたエリアでないと動かせないといった一面がありました。
でもduAroは違います。キャスターがついているので1人で押して運べますし、人間とほぼ同じ環境で運用できるフレンドリーな産業用ロボットなんです。必要なとき、必要な場所で、必要なだけ働いてもらえます。
アームの動きは持つ、押す、だけではありません。組み立ても、研磨や切断も、充填などもおまかせできちゃう。両手を駆使して持っているパーツの角度を変え、ほかのパーツを組み合わせるといったことも得意です。
水平多関節のアームの可動範囲は大きいし、スピーディかつ目的の位置でピタッと止まる正確さ。これだけの作業ができるロボットが、省スペースで設置できちゃうんですね
しゃべってよし聴いてよし。これからのロボットというと、そんなコミュニケーション重視タイプが中心かな。そう思うときもありました。でも違うんですね。duAroのように、寡黙でも人の手伝いに専念してくれるロボットは、すでにいるんです。
ギズモード編集部では、duAroにちょっとしたお手伝いを頼みましたが、彼はもっと多くの、さまざまな作業を引き受けられます。そのストライクゾーンの広さがduAroの最大の個性。メンター次第で彼の活躍できる場は無限大。ちょっと、彼のこと、注目したくなりませんか?
ということで、ありがとうduAro! また来てね!
※実際にduAroを動作させるには、タブレット端末 か専用リモコン(ティーチペンダント)によるシークエンスのプログラミング、または人間の手で直接アームを動かして動きをプログラミングする「ダイレクトティーチ」という作業が必要になります。ダイレクトティーチにより直感的にプログラミングを行えるのも、duAroの素晴らしい個性ですね。
Photo: 川崎重工、duAro、ギズモード編集部、武者良太
(武者良太)
記事掲載元: GIZMODO JAPAN 2018.03.22より転載