SCADAware Inc.は川崎重工と連携し、老朽化し人手依存だったパレタイジング工程を、長期的な運用価値を見据えた高性能かつデータ活用型のロボットセルへと刷新しました。
当初は「寿命を迎えたロボットを更新したい」という要望から始まった本プロジェクトでしたが、検討を進める中で、処理能力の限界、安全上のリスク、ダウンタイム、将来の拡張性といった課題を包括的に解決する自動化ソリューションへと発展しました。
単なるロボット更新ではなく、パレタイジングセル全体を再設計することで、生産能力を大幅に向上させると同時に、現場作業者の負担軽減を実現しています。
SCADAware Inc. 社長 Rick Caldwell 氏は次のように述べています。
「私たちは単に設備を置き換えるのではありません。
プロセス全体を見直し、長期的にどうすればより良くできるかを考えます。」
プロジェクトの課題
本顧客は、24時間365日稼働のパレタイジングラインにおいて、約23kgの袋製品を大量にパレット積みしています。
既存システムでは、理想的な条件下でも以下の制約がありました。
- パレット1枚あたり 825秒
- パレット切り替えごとに 75秒の待機時間
- パレット供給は手作業
- 頻繁に発生する ロックアウト/タグアウト(LOTO)による作業中断
- 老朽化したロボットによる故障多発と、その間の手作業対応
最大稼働時でも、年間処理能力は約38,225パレットが限界でした。
さらにこの数値には、パレット補充、保全作業、安全対応による実際のダウンタイムは含まれていません。
特に大きな問題は、ロボットが
パレット搬送やスリップシート回収といった付加価値のない作業まで担っていた点で、単なるロボット更新では根本解決にならない状況でした。
SCADAwareのセグメントリード兼営業エンジニア Doug McGuire 氏は次のように述べています。
「ロボットに仕事をさせすぎていました。
1枚のパレットを終えて次を始めるまでの約75秒、この時間が最大の“隠れたロス”だったのです。」
プロジェクトの解決策
SCADAwareは、川崎重工のパレタイジングロボット CP180Lを中核に据え、ライン停止をなくすセル全体の刷新を提案しました。
主なシステム改善点:
- 可搬重量・稼働率・信頼性を重視した川崎重工 CP180L パレタイジングロボット
- 連続供給型パレットディスペンサー
→ セルを停止せずにパレット補給が可能 - 自動ボトムスリップシート供給装置
→ ロボットによる事前作業を排除 - Fortress製インターロックを含む安全設計の最適化とLOTO手順の簡素化
- PLCおよびSCADAと連携したデータ可視化
・セルの稼働状況
・ダウンタイム理由
・不良・NGデータ
・生産スループット
これにより、ロボットの本来業務に集中させることが可能となり、パレット切り替え時間を大幅に短縮しました。
SCADAwareのエンジニアリング担当VP、Scott Dappen 氏は次のように語っています。
「自社の知見と、川崎重工のような技術パートナーを組み合わせることで、
お客様にとって最善のソリューションを提供しています。」




導入効果(Results)
刷新されたパレタイジングシステムは、即座に、かつ定量的な成果をもたらしました。
主なKPIの改善
| 指標 | 導入前 | 導入後 |
| パレット1枚あたりの時間 | 825秒 | 770秒 |
| パレット切り替え時間 | 75秒 | 20秒 |
| 年間処理枚数 | 38,225枚 | 40,956枚 |
| スループット向上 | – | 年間+7% |
年間約2,700パレットの増加に相当し、顧客試算では年間約150万ドルの増収効果につながっています。
定量化しにくい付加価値
- ロボット信頼性向上による突発停止の削減
- 手作業排除による作業環境・安全性の改善
- メンテナンスや補給時の迅速かつ安全なセルアクセス
- リアルタイム生産データによる見える化
なお、見積段階では、顧客は初期投資が大きい提案を短期間で採用しました。
長期的なROIと運用安定性を評価した結果です。
McGuire 氏は次のように述べています。
「スループット向上と投資回収の速さを理解した時、
判断は非常にシンプルでした。」
まとめ
本プロジェクトは、SCADAware Inc.が自動化を
設備更新ではなく、戦略的投資として捉えていることを示す好例です。
- 処理能力の向上
- ダウンタイムの削減
- 安全性の改善
- 明確なROIの創出
深い工程理解、データ活用、そして川崎重工との信頼関係を通じて、
将来に備えたパレタイジングシステムが実現しました。
Rick Caldwell 氏は成功の要因を次のように語っています。
「私たちは誠実さと長期視点を大切にシステムをつくっています。
それが25年以上にわたり事業を続け、
長く続くパートナーシップを築く秘訣です。」
