20年の信頼が証明するロボット溶接の品質 ― Kawasaki Motors U.S.A.の挑戦

20年以上にわたる信頼性の高いロボット溶接 VN800

概要

1997年3月、カワサキモータースマニュファクチュアリング社(KMM)は、カワサキ「バルカン800」モーターサイクルのフレームサイド溶接工程に、カワサキのJシリーズロボットを導入しました。

導入から22年を経た現在も、このロボットは高い信頼性を維持したままKMMの工場で稼働を続けており、需要の変化に対応しながら、さまざまな製品部品の溶接を担っています。

本ロボットの累計稼働時間は38,390時間に達し、これは1日8時間稼働換算で約20年分に相当します。また、これまでのメンテナンス実施回数はわずか57回にとどまり、さらに2つの異なる溶接ラインで運用されるなど、高い柔軟性も実証されています。

投資収益率(ROI)

資本設備への投資は大きな決断となるため、投資収益率(ROI)は極めて重要な指標です。ロボットアプリケーションのコストや要件はケースごとに異なりますが、本事例においてKMM社の投資は短期間で回収され、その後も長期にわたり大きなコスト削減効果をもたらしています。

KMMのチーフエンジニアであるスコット・ゴードンさんは次のように述べています。 「当社が導入したロボットは、1990年代当時で2年足らずで投資を回収することができました。そのため、この22年間は実質的に追加コストなしで活用できていると言えます。頻繁な更新や買い替えが不要である点は、資本的支出の観点からも非常に大きなメリットです。」

アーク溶接ロボット
このロボットはKMMで数十年間使用され、2年足らずで元が取れました。
カワサキ・バルカン800


1997年、KMMはカワサキ・バルカン800オートバイのフレーム側面の溶接にJシリーズロボットを導入しました。

生産変化に対応する、高い柔軟性

2004年、KMM社がバルカン800モーターサイクルの生産を終了した際も、このロボットはその役割を終えることはありませんでした。再プログラミングを行うことで、需要が急増していたATV(全地形対応車)のステアリングシャフト溶接工程へと迅速に転用されました。

当時は年間6万台規模のATVが生産されており、すべての車両にステアリングシャフトが必要とされていたことから、本ロボットは導入当初と同様に高い稼働率で運用され続けました。

製造業においては、市場ニーズの変化に迅速かつ柔軟に対応することが求められます。カワサキのロボットは、AS言語による再プログラミングが可能であり、多様なアプリケーションへの適応力を備えています。これにより、生産品目の変更にもスムーズに対応できる柔軟性が、長期運用の大きな価値を生み出しています。

安全第一

自動車などの製品においては、溶接部の不具合やばらつきが安全性に直結するため、安定した品質確保が不可欠です。このような背景から、同社の工場ではロボットによる溶接が重要な役割を担っています。

KMMのチーフエンジニアであるスコット・ゴードンさんは次のように述べています。 「新製品の開発においては、品質向上の観点から、可能な限り溶接工程の自動化を推進しています。手作業に依存し、長時間にわたり安定した品質を維持することは容易ではありません。」

カワサキが提供する最新のBAシリーズおよびRシリーズ溶接ロボットは、熟練溶接工による高品質な作業に匹敵する安定した溶接品質を実現します。各ロボットには溶接専用ソフトウェアが標準搭載されており、プロセス経路のプログラミングを迅速かつ容易に行うことが可能です。

さらに、アダプティブ溶接機能により、溶接中のロボット位置やウィーブパターン、速度の最適化が可能となり、ワークのばらつきにも柔軟に対応します。これにより、あらゆるサイクルにおいて安定した高品質溶接を実現し、製品品質の一貫性向上に大きく貢献しています。

信頼性

金属加工分野における熟練人材の不足は、多くのメーカーにとって深刻かつ継続的な課題となっています。米国では溶接工の高齢化が進んでおり、平均年齢は55歳と、全労働者平均を大きく上回っています。さらに、若年層の参入も減少傾向にあり、将来的な労働力確保は一層困難になると見込まれています。

こうした中、オートメーションの導入は有効な解決策の一つです。ロボット化により人件費の最適化が図れるだけでなく、労働力不足による生産遅延やダウンタイムのリスクを軽減することができます。その結果、メーカーは需要への安定的な対応と、高品質な製品づくりにより一層注力することが可能になります。

ロボットはひたすら走り、走り、走る。軋む車輪にはグリースが塗られるが、決して軋むことはなかった。

スコット・ゴードン、KMMチーフエンジニア

カワサキは、信頼性の高いロボットづくりに長年の誇りを持っています。しかし、その真価は言葉だけではなく、実際の現場でこそ証明されるものです。

KMM社は、カワサキのJシリーズロボットを24年にわたり活用し、その性能と品質を現場で実証してきました。長期にわたる運用を通じて、コスト削減、製品品質の向上、生産効率の改善、さらには市場ニーズへの柔軟な対応といった、さまざまな成果を実現しています。

スコット・ゴードンさんの言葉が示す通り、カワサキのロボットは、時間を経ても変わらぬ信頼性と価値を提供し続けています。